帰国子女だからといって英語ができるわけではない

夫から聞いた話です。
当時小学校高学年だった普通の日本人の子。
3年ほど非英語圏の海外で過ごし、普段はインターナショナルスクール、週末は日本語補習校で日本語の勉強。
母親は勉強面では子供に対して熱心ではなかったようです。親による日英の学習サポートはなかったのではないかと思われます。外国人のママとの付き合いも殆どなく、ゆえに子供も英語が共通語の友達同士でプレイデートしたりする機会もあまりなかったのかもしれません。お友達は同じインターに通う日本人が中心。家では日本語オンリー。
インターでも補習校でも勉強が特別にできるという話はなかったようで、結局最後まで英語は今ひとつのままだったのかもしれません。

帰国して公立中学で中学生活をスタート。
一般受験となる高校受験に少しでも有利な状況を作ろうと英検を受けたが、準二級止まりで二級が受からなかったとのこと。

ここまで聞いて私は「高校受験の勉強で忙しくて準備が間に合わずに、たまたま受からなかったんじゃないの?」と思いました。
(ある程度英語力があるなら準備するまでもなく合格するはずなので、その子の英語力はそこまで達していなかったのかな、とは思いましたが。)
しかし、その子は中学生活の間に二級を「何度も」受験したが、結局高校受験までに合格しなかったということでした。

偶然に落ちてしまったという回数ではなかったのです。
私はこれを聞いて、とてもショックを受けました。
小学校高学年から3年間英語に触れて(というか英語環境どっぷりだったわけで)、インター校で小学校卒業程度の英語力が付いていてかつ帰国後に日本で一から中学英語をしっかり学んでいる子なら、英検二級合格レベルには普通は達すると思われます。ESLから抜けられないまま帰国したとしても、しっかりと英語に取り組んでいるなら合格できそうです、二級の出題レベルに達していなくても「合格レベル」でいいのです。リスニングの配点も多いです。
なにしろ、5歳で英語に触れ始め丸3年たったところで受験したうちの子が8歳で受かっているのですから。

その子がとても気の毒になりました。
自分と同じような海外生活がある子が英語でどのレベルまで達する可能性があるかということは、本人は気付くでしょう。今分からなくても、ゆくゆく分かることでしょう。高校受験の受験英語においてもその子は特段トップクラスではないのではないかと想像します。
海外での世界中の国々から集まった友人たちと過ごす学校生活は英語力の獲得の度合いだけでは計ることのできない素晴らしい体験ではあります。が、自分の3年間の海外生活、そして帰国してからの苦労と添えて考えると、その子なりに(今は無意識だとしても)言いようの無い気持ちになるのではないか、と心配になります。
受験が近づくと「インターに通ってたんだから英検くらい取っておけ」と告げる親、何度も受けたのに受からない自分。
まあいいじゃないか、海外で唯一無二の体験をしてきたんだから、という一言で簡単に片付けるわけにはいかないような年齢です。

その子は学習面において問題がある子ではないです。
小学校中〜高学年という言語形成にも基礎学力向上にも大事な時期に、周囲から十分にサポートしてもらえずになんとなく日々を過ごして海外生活をサバイブした結果、という気がして仕方ありません。
日本語の教育機関がない海外に渡りインターに通うという選択をすることは簡単なことではないと改めて思いました。

英語で教育を受けているのですから、まず英語に関して十分にサポートしてあげないといけないのですが、日本人でそれまで英語教育になんの接点もなかった私のような普通の母親は、なかなかそのことに気付きません。
任期に限りがあると分かっていると帰国後のことに関心が向き、英語よりも日本語での教育のことに目が向きがちでした。特に任期が長くはない場合は余計にそうでしょう。
確かに母国語は非常に重要です。
しかし、学校で使われている言語が分からないと学習内容が理解できません。ようするに学科の学習そのものが進みません。インターに入るということは、英語で学習を進めるという選択をしたということ。高等教育に於いてであれば英語で習った内容を自分の中で日本語に翻訳して学習するということもアリだと思いますが、言語や知識や思考力がまだ発達途上の小学生ではそれはあり得ませんので、英語で教育を受けると決めたからには英語はなんとしても獲得しないといけません。
その子は英語だけでなく学校の勉強もなんとなくの理解にとどまるレベルだったことでしょう。
教育を受ける手段となる言語そのものの理解が進まなかったのですから。

しかもその間は日本の学校で受ける教育を受けそびれているのです。
塾もなく補習校は国算のみという環境ならば、通信教育などを熱心に当てがってくれる親でなければ、日本語および日本語での学習もなかなか満足には進みません。その場合、日英両言語において他の教科の学習が十分では無いまま中学生になってしまったのかもしれず、そうだとしたらとても気の毒です。
中学になって日本の学校に戻ったことにより、日本語での学習がどんどん進んで人並みに追いついたならいいのですが。どうだったのかとても心配です。

さらに、小学校高学年といえば抽象的概念や論理的思考を身につけ始める大事な時期です。この時期に教育言語でしっかりとそれらのことを身につけないとしたらどこで身につけるのでしょうか。家庭で親によって母国語でその代わりが行われていたとしたなら良いのですが、どういった状況においても、どちらの言語発達も中途半端に終わる可能性が一番怖いです。

言語能力や思考力の発達時期は「早いか遅いか」の時期的な問題であるとは思います。個人差もあるし。
遅れてもあとで挽回すればいいのでしょうが、早く達成できると次の段階に進める準備となるわけで、年齢に合っているものならば言語をもとにした知識学習も次の段階に進んでどんどん次のことを吸収できると思います。
遅れてしまうと、大事な発達時期での伸びを逃してしまうこともあるでしょう。
言語発達も知識の構築も、早過ぎる必要は全くないと私は思っていますが、遅過ぎる必要もまた、ないはずです。

母国語に重点をおくのか、第二言語に重点を置くのか、海外では悩ましい問題です。
特に日本人は、日本語という言語の特性や、親も日本語だけで育っているという特殊性から、欧米人や多言語国家の出身者の場合と同一に考えることはできないと思います。
簡単に結論はでませんが、一日24時間を精一杯使って両言語の努力を最大限にする必要があるのは確かです。

子供の言語環境は本当に注意深く見守る必要があると改めて思いました。

海外生活で、英語は大事、日本語は大事、と色々な意見がありました。しかし限られた任期で過ごす限られた私の仲間のなかで、子供の発達には言語形成そのものが非常に重要だと捉えている人はいませんでした。私も当初はそのような意識が無かったので仮にそういう意見を持った人がいたとしても気付かなかったということもあります。海外生活は家族全員にとってかなりハードなため、親子ともにサバイブするので精一杯という面もありますから、なかなか意識がそこまでまわりません。でも今になって、子供の成長における言語発達の重要性がよく理解できます。

子供は環境を選べません。
子供の置かれている環境は全部親が選んで子供に与えたものだということ。
親の選択ミスやエゴによる行動のツケを払わされるのは子供自身。
そう考えると、自分が親として正しいことをしてあげられているのか、分からなくなってしまいます。

思うところが色々とあり、この話題になるとうまく書けません。
だれも自分の家庭の教育方針を批判されたくはないし、他人の家庭を傷つけることもしたくないのです。私自身もしかり。

自分の子供に関しても同じように不安だらけです。今でも。

子供の海外生活は言語形成において努力を必要とする部分が多い、ということだけは確かに言えます。
子供は放っておいて勝手にバイリンガルにはなってくれません。
勝手になれてしまうのはダブルリミテッドの方かもしれません。

それでも、我が家が数年内に再度海外生活の機会があるとすれば、私はまた子供をインターに入れるつもりです。
そのために今できる努力はおしまないつもりです。

こういう話題をブログに発信するのはどうかとも悩みましたが、これから海外に行かれる方の参考になればと思い、うまく書けませんがまた書こうと思います。



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No title

はじめまして。
我が家も2年という期限つきで現在渡米中です。
3年の海外インター生活でも英語が十分に身に付いていない、
というのはかなしいですね。。。
日本語はしっかり身に付いていればそれでいいんですけが。
親の都合で子供を海外生活に巻き込むのは
やはりリスクがありますよね。
両言語のフォロー、確かに大事だと思います、
でも、英語はノンネイティブには厳しいところもあったり、
難しいですね。
なんとなく、で過ごしていてもバイリンガルにならないというのは
最近実感しているところです。

とても考えさせられる記事をありがとうございまいた。

No title

ミルフィーユさん、はじめまして。私の子供達も同じように海外で暮らしていたことがあるので興味深く読ませていただきました。

海外にいる時には英語も日本語も頑張らないとと思いますよね。言語形成も大事ですが、最終的には学習に対する取り組む態度が大事なのかなと思います。分からないことをそのままにするのか、知りたいと思うのかの違いは日本でも海外でも一緒のような気がします。

海外にいると親も慣れない生活で大変かもしれませんが、子供のサポートはきちんとしてあげないといけないですね。

No title

お久しぶりです。本当に考えさせられる記事をありがとうございました。何度も読み返しました。

高学年からいきなり外国語環境に放り込まれるというのは、子供にとっては本当にきつい経験だと思います。おっしゃるとおり、抽象的概念や論理的思考の発達期に母語による教育から切り離されるということだけでもたいへんに危ういことなのに、なかなかスッと理解できない/操れない外国語で教育を受けるしかない環境に身を置くということは、大人が考える以上の過酷な状況です。それを承知で(またはそれしか選択肢がなく覚悟のうえで)頑張っていらっしゃる親御さんなら家庭でのサポートにも熱心で問題も少ないのでしょうが、そうではない場合も多く見聞きするので、よそのご家庭のことながら心配になります。

ミルフィーユさんもそうなのではないかな、と勝手に思っているのですが、我が家の場合、日本の小学校教育を受けさせることができて本当に良かった、という思いが強いです。3~5歳という言語形成期に海外で過ごし英語力の基礎をわりと自然なかたちで獲得しましたが、その後もずっとその環境のままだったら、日本語も、日本語による論理的思考力の素地づくりも、かなり厳しいものになったと思います。それは、そのまま海外暮らしが続いていたら、日本で教育を受けさせることの大切さ、そしてそれができることがいかに恵まれている環境なのかということを親である私がまったく理解できないままであったかもしれないと思うからでもありますが。英語についても、「海外にいれば自然と習得できるだろう」という社会通念を信じて今ほど真剣に考えることなく、しっかりとした取り組みができていなかったかもしれません。日本語も英語も中途半端になっていたかもしれない危険性を、今振り返ってみるとひしひしと感じます。

おっしゃるとおり、言語能力や思考力の発達時期には個人差も大きいと思いますが、やはり一般的に言われている危険性はじゅうぶんに認識する必要があるのではないかな、と私も思います。ミルフィーユさんのこの貴重な記事が、多くの方々の目に触れることを願っています!

たけひなママさんへ

はじめまして。コメントありがとうございます。
二年と期間が決まっているアメリカ暮らしなのですね。
ブログを少し拝見致しましたが、小さいときから英語に取り組むなかでの期間限定の英語環境ならとってもよい結果が出そうですね。羨ましいです。
でもやはり親自身が英語で教育を受けた経験がないと、戸惑うことも多いですよね。親が英語が分かったとしても、子供が英語環境で成長するというのは自分とは全く異なる体験です。
またご意見お聞かせください!

ゆみママさんへ

はじめまして。コメントありがとうございます。
海外で暮らしていらしたのですね。
日本の環境とはまた違う慣れない海外生活では、親も色々大変なこともあるので、ある程度子供が学校生活に慣れてくれるとホッとして後は学校にお任せにもなりがちでした。
おっしゃる通り、学習に対する意欲も本当に大事ですね。
子供が言葉の問題を超えて素直に意欲を持てるような環境をつくるためにも、海外では親が子供のサポートをしっかりとしないといけないのですね。

マンゴーさんへ

お久しぶりです。コメントありがとうございます。
まさにマンゴーさんのおっしゃる通りです。
私もそのまま海外で何も気付かずに、しっかりとした取り組みが出来ないまま自分の子供を両言語が中途半端な子供に育ててしまう可能性がありました。

日本に帰って来て、心底ほっとしました。
これでしばらく一つの言語でしっかりと言語回路の形成と論理的思考の素地づくりを出来るということにまず安堵。そして日本で日本の学校に通っている限りは、英語は好きなだけ(好みの量だけ、という意味で)趣味として取り組めると安堵。教育言語でなくなったので好きにのんびりやればいいからです。
結局、英語を子供のメイン言語にさせる自信が、発達段階で大事な時期の自分の子供に英語で教育を受けさせ続ける度胸や自信が、私になかったのです。私自身の英語力や英語環境での教育を全く知らないことなどが理由で、子供を英語でサポートできる自信がなかったのです。

子供にとって「過酷な環境」というマンゴーさんの言葉もよく分かります。
小さい子でも、色々とストレスが溜まっていそうなのになかなか周囲の大人が気付いてあげられない例も見ました。

難しい問題ですね。。。
やはり簡単には言えないし、辛いこともありますし・・・。
コメント書くのでさえうまく書けませんが・・・。
でも頭の中を整理する意味でもまた書きたいと思います。
プロフィール

ミルフィーユ

Author:ミルフィーユ
子供には、グローバル時代育ちの子としてたくましく生きて欲しい。
視野を大きく、小さいことにこだわらず、が子育ての目標。

息子:中学2年生
5〜7歳は海外でインター校に通っていた。
現在、日本の中高一貫校の中学一年生。

小2の7月に英検準二級取得。
小3の7月に英検二級取得。
小4の3月に英検準一級取得。
小6の7月に英検一級取得。

ブログ開始当初は小2だった息子、もう中学生。

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